になってコキ卸して得意がる奴がある。たとえば薩摩というところは、よく一致して同郷人を担ぎ上げたがるところで、あすこへ生れると、さほどの人物でない奴でも、郷党が寄ってたかって人間以上に箔《はく》をつける、あの一致する気風は薩摩の長所だ。それと違って、同郷だというと、むやみに啀《いが》み合い、ケチをつけたがる風習の土地柄がある、たとえば、水戸の如きは、あれだけの家格と人物を持ちながら、到底一致することができない、奸党《かんとう》だ、正義派だ、結城《ゆうき》だ、藤田だと、始終血で血を洗っている、薩摩あたりに比べると絶大な損だ。わが土佐の如きも……」
と言っただけで、坂本はその説明をしませんでした。
「なんにしても、ああいう下品な奴に、指で丸をこしらえられてコキ卸されては、天下の豪傑もたまらん」
と五十嵐が冷笑しながら、よたとん[#「よたとん」に傍点]の落ち込んで行った草原を見つめておりました。
ころころと転がって行ったよたとん[#「よたとん」に傍点]の姿は、もう見えなくなっている。ここは安全なカヤトのスロープとは言いながら、多少気がかりにならんでもない。どう間違っても怪我はないところである
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