者の悩みの圧迫から、とつおいつした最後の果ては、いつでも、同じような平凡な結論に終るのを繰返し繰返しするのが、伊太夫の頭の、このごろの日課のようなものであります。
 ついに、養子問題を、与八とその携えて来た少年の身の上に投げかけてみるように至ったのも、その思案のあまりの一つでありました。

 今日も、それを繰返して考えたり、帳合《ちょうあい》をしたり、帳合をしてはそれを繰返して考えてみたりしているところへ、老番頭の太平がやって来ました。
「旦那様、お邪魔いたしてよろしうございますか」
と言って、何か特に改まった用件でも出来たかのような語勢でもありましたから、伊太夫も眼鏡をとって、
「何ぞ用かい」
と言いますと、
「お嬢様から、急飛脚でございまして」
「なに、銀から……」
 反逆者として遠島をさせてしまったような気分でいても、そこは肉親の親子の情合いと見えて、旅先の娘から急飛脚ということを言われて、思わず身体《からだ》が乗出したのです。
「はい、わたくし宛に、お手紙が参りましたのですが、わたくしだけでは計らい兼ねますによって、旦那様の思召《おぼしめ》しを伺いに参りました」
「ふーん、あれ
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