て山を下った。そうしてその猿を殿様に差上げると、殿様からはたくさんの褒美《ほうび》を下された。
 これから与次郎は子猿を家に連れて帰り、女房にも、この猿はこれこれこういうわけで連れて来とう[#「とう」に傍点]だから、大事に育てろとよく言いつけた。
 猿の子もはじめのイトは、乳を欲しがって泣いて困ったが、そのたびに与次郎の女房がおしゅんの乳を分けてくれ、だんだん馴れてイカくなった。おしゅんとヒトツトシだが、おしゅんがまだ人の見さかいもつかぬうちに、猿の子はもう木にも上れば、しまいにはおしゅんの子守までするようになった。そうしてその子猿も、やはり手首から先が白かったので、与次郎夫婦は、名も母親と同じに「手白、手白」と呼んで可愛がった。
 三つにもなると、手白は全くおしゅんの子守をよくしてくれるので、おしゅんの母親は、手白におしゅんを預けると、いつも安心していろいろの仕事ができた。
 ある日のこと与次郎が、いつものように山へ行った後、母親はおしゅんに湯でも浴びさせようと、釜で湯を沸かし、半槽《はんぞう》(盥《たらい》)にその湯を汲んでおしゅんを入れ、自分は子の傍で洗濯をしていたが、
「手白、
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