にさし置き、
「でげすな、シルクてえのは、只今それお話の、お白様《しらさま》の口からお出ましになって、願わくは軽羅《けいら》となって細腰《さいよう》につかん、とおいでなさるあの一件なんでげす」
「何だ、それは」
「あの蚕の口から出まする糸、それを座繰《ざぐり》にかけて繰り出しましてから、島田に結わせて、世間様へお目見得《めみえ》を致させまする、あれは通常、生糸と申しましてな」
「生糸のことを聞いてるんじゃない、シルクとは何だと聞いているのだ」
「それなんでげす、話の順序でげしてな、その生糸をすっかり繰り上げましたのが、それがすなわち絹糸なんでございます」
「そんなことは、貴様に聞かなくても大よそ心得ている」
「まあ落着いておしまいまでお聞きあそばせ、その絹糸のことを洋語で申しまするてえと、すなわちシルクてなことになるんでございます」
「なるほど、シルクとは絹の洋語か」
「左様でございます、この繰り上げた絹糸の肌ざわりというものが、とんとたまらぬそうでげして、洋人という洋人が、これに参らぬのはござんせんそうで、ことにイタラの国の絹よりも、支那出来の絹よりも、日本の絹が、世界のどこの国にも
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