》が、片言《かたこと》の日本語でほめました。
「有難うございます、手妻使いのようには見えませんか」
「イヤ、ソウデナイデス、立派ナ西洋貴婦人アリマス」
 こういう問答で、一座がにわかに春めいてきたが、主膳の苦々しさったらない。
 うんとお絹の横顔を睨《にら》みつけると、例の乳白色の少し萎《な》えてはいるが、魅力のある白い頬に、白粉をこってりとつけている。
「マダム・シルク、アナタ日本ノ宝デアリマス、日本ノ富デアリマス」
 赤髯が主膳の苦りきるのとは打って変って、お絹が現われてからにわかに陽気になりました。
 シルク、シルクと頻《しき》りに言うが、シルクという言葉は、さいぜん、あの士分と商人との二人の口からも出たようだ。
 シルク、シルクと、シルクが今日の座持のような売れ方だ、いったいシルクというのは何のことだ、おもシルク[#「おもシルク」に傍点]も無え! と神尾はいよいよ不機嫌で、隣りの金助改めびた[#「びた」に傍点]公に呼びかけました、
「びた[#「びた」に傍点]、シルク、シルクというが、いったいシルクとは何のことだ」
 その時、びた公が得たり賢しというような表情をして、フォークを左
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