ができる、日本でこしらえて、異国を相手に商売のできる第一のものはあれだと、こっちは見込みをつけてしまったがどうだ」
「なるほど――そのお見込みは至極御尤もでございます、また、こちらに無限の製産力がありまして、先方にも無限の需要がある点は御同感でございますが、失礼ながら値段の点はいかがでございますか、いかに取引が活溌に参りましょうとも――手数をかけ、口銭をとり、そのうえ外国まで船づみを致しまして、それで採算の儀が、どんなものでございますか、その辺の御意見は――」
「それは心配いたすな、眼前に一つの例がある、越前家ではこの最も有利なる実例を示して、大儲けに儲けているが、表向きには発表していない、なにしろ加賀で銭五の先例もあって、小面倒と遠慮をしているのではないかと思うが、こちは、ちゃんと委細を聞いている」
「ははあ、越前様が、その生糸で大儲けをおやりになりましたか」
「うむうむ、今こちが言ったところと同じような目のつけどころが、財政が豊かなだけに早く実行の緒についたのだ。あの国では早くから領内に養蚕の奨励を致してな、生糸御用係という役をこしらえて領内の諸方に出張させ、夏場になると、役所の部
前へ
次へ
全439ページ中390ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
中里 介山 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング