といっしょに、わたしの力にもなって頂戴、もし旦那様に万一のことがあるときは、わたしはお前ばっかりが頼りなのだから……」
 二人の子供がありとはいえ、まだ水々しい年増《としま》の主人のお内儀《かみ》さんから、こう持ちかけられると、若い番頭の胸は躍《おど》らないわけにはゆきません。何か知らん甘い、そうして空怖ろしい戦慄が全身に起りました。
「お内儀さん、御安心なさいませ、わたしが附いて行く限り、決して旦那様を悪い方へお導くようなことは致しません、それに旦那様も、全く旅でお固いのですから、どう間違ってもお内儀さんの御心配になるような事態が引起されるはずはないのでございます、それは、わたくしが固く保証を致しますから、御安心下さいませ」
「だが、お前、人の心というものは、いつどう変るかわかったものではありません、固いといった人が道楽を覚えると、かえって遊びをした人よりも深くはまり込むこともあるのです――そうでなくても、もし旦那様が旅で御病気になるとか、盗賊追剥にでも害されるようなことがあったとしてみると、それからのわたしは、どうしましょう」
「それはお内儀さんの思い過ごしでございます、旦那様に限
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