と、これはこの頃中、よく自分の方の建築工事に手伝いに来ている兵作という朴訥《ぼくとつ》な男でありました。
「兵作さんでしたね」
「はいはい」
「何ですか、おとむらいですか」
「はい、どうも、よんどころなく、この方を頼まれたものでございますから」
「村の方ですか」
「いいえ、はい、その……」
兵作の返事が、しどろもどろになるのは、何か特別に意味がありそうです。
「どうしたのです」
お銀様もしつこく[#「しつこく」に傍点]それをたずねてみる気になりました。
「どうも、誰も頼まれて上げるものがございませんから、つい……わっしにおっかぶせられてしまいました」
「それは、どうして」
お銀様は、不承不承な兵作の態度を、合点《がてん》のゆかないものだと思いました。
六十三
なぜならば、誰も好んで墓場の「穴掘り」をやりたがるものはなかろうけれど、それを職業とする者のない田舎《いなか》では、当然村人が代り番にそのおつとめをすることになっている。当番に当れば免れ難いことになっているのを例とする。そこで、これは自治体としても、隣人同士としても、必然の義務になっているのだから、特
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