ればならない、そういう場合に、産むということも、生れるということも、そんなに目出度いことなんでしょうか。それから、人がたくさんに子を産んで、この世に人間が殖えて行くことが、果して世間のためにも、人間のためにも、幸福なことなんでしょうか。世間には、産まない方が慈悲であったり、生れない方が幸いであったりする人はないでしょうか。人間というものは、どうしても、結婚して、子を産まなければならないはずのものなんでしょうか」
「そこだ!」
と道庵が、また何かに感奮して、盃を下に置くと共に、掌で丁と額を叩きました。
五十五
「そこだ!」
と道庵先生が、何かに昂奮して盃を下に置くと共に、掌で丁と額を叩いたが、やがて、仔細らしく物おだやかに、お雪ちゃんに向って語り出しましたのは、
「わしも御承知の通り、医者ですから、人助けが商売みたようなわけなんでしょう、人の見放した難病を癒《いや》したり、死んだ者までも生き返らせたりするのが商売のようなもんだが、どうかすると、つくづく考えることがあるね、こんな野郎や、こんな阿魔ッ子を、生かして置いたって仕方がねえじゃねえか、こんな奴は一思いに眠らし
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