た最初の……」
「これこれ、まだ貴様の身性《みじょう》を調べたわけではないのだ――連れはあるのか、ないのか」
「はい、連れと申しまするのは一人もございません。一緒に連れて行ってもらいたいと申したものはございましたが、思案をいたしてみますると、独《ひと》り生れ、独り死に、独り去り、独り来《きた》るというのが、本来出家の道でございまして、ましてこの通り不具《かたわ》の身ではありますし、われひと共に迷惑のほどを慮《おもんぱか》りました事ゆえに、わたくしは誰にも挨拶なしに、こっそりと抜け出して参りました。あの竹生島へ渡りますには、大津から十八里、彦根から六里、この長浜からは三里と承りました、このいちばん近い長浜の地から出立させていただくことも、本望の一つなのでございます……そもそも私がこのたび、近江の国の土を踏みまして、琵琶の湖水を竹生島へ渡ろうと思い立ちました念願と申しまするは……」
「いいから行け! 行け!」
足軽はついに匙《さじ》ではなく棒を投げてしまいました。つべこべとよく喋る坊主で、黙って聞いていれば際限がなかりそうだし、そうかといって、咎《とが》め立てをして拘留処分を食わすには余
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