りに痛々しいものがある。それにまた、江州長浜という土地は、昔は錚々《そうそう》たる城下の地であったが、近代は純然たる商工都市になっている。そうして同時に信仰の勢力がなかなか侮《あなど》り難いものがある。うっかり坊主を侮辱して、現世罰の祟《たた》りを受けてもつまらないと感じたのか、そのことはわからないが、足軽がとうとう棒を投げ出して、弁信の無事通過を許さざるを得なくなりました。

         五十一

 しかし、どこをどうして来たか、そのうちに弁信は湖岸の一部へ出るには出ました。
 そのたずねていたところの、りんこ[#「りんこ」に傍点]の渡しというのが、果していずれのところにあって、その乗合船の出発の時間がいつであるかということの観念はないらしいが、とにかく船着だから、水に近いところにあるという判断には間違いなく、さればとりあえず湖の岸へ出ることによって、目的地に当らずとも遠からぬ地点に達していると信じてはいるらしい。そうして湖岸をめくら探しにぐるぐる廻っているうちに、瓢箪《ひょうたん》のくびれたような地点をとって、岬と覚しい方面へずんずん進んで行ったのでありましたが、さすがの弁信
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