晩、長浜方面から帰りがけだと言って立寄った時に、関守氏が何か言ったようだけれど、いろいろに気の散っているお雪ちゃんには、それが思い出されないでいると、関守氏は続けて、
「しかし、まだ今晩が剣呑《けんのん》でござんすからな、友造君によくそのことを話して置いて、相成るべくは早く戸を締めて、そうして燈火《あかり》も外へ漏れないようにすることですな」
 さまで念を入れての警戒が、お雪ちゃんによく呑込めないでいたが、ようようそれと感づいたか、
「関守さん、もう大丈夫でございますよ、友さんの親切で、子供を連れて行ってしまったんですもの、そうしつこく[#「しつこく」に傍点]仕返しになんぞ来はしないとわたしは思いますわ」
「何のことです、お雪ちゃん」
「関守さん、あなた何のことをおっしゃっていらっしゃるのですか」
「何のことじゃありません、昨晩もちょっとお話ししたじゃありませんか、湖岸一帯のあの一揆《いっき》暴動のおそれなんですよ」
「まあ、そのことでございましたか、わたしはまた、あの鷲《わし》の子のことかと思いました」
「いや、そんなんじゃありません、鳥獣《とりけもの》の沙汰《さた》じゃないのでごわ
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