いようですな」
「昨晩、ちょっとね……」
「どうか致しましたか」
「ちょっと加減が悪かったものですから」
「それはいけません、お薬がございますか」
「はい、お薬もございます、幸い……」
と言ってお雪ちゃんは、お薬の次に、幸いお医者さんも――と言おうとして、急にさし控えて、
「おかげさまで、もうすっかり癒《なお》りましたから、御安心下さいまし」
「それは何よりでございます」
不破の関守氏は、そろそろと炉辺へ近寄って来て、腰をかけ、煙管《きせる》を掻《か》き出しながら心安げに話をしました――
「昨晩は、それでもまあ無事でよろしうございましたな」
こちらは、あんまり無事でもなかったのですが、関守氏の言うことをあげつらうのも、と思ってお雪ちゃんは、
「はい、おかげさまで……」
「実は、ここまで押寄せて来はしまいかと、拙者はそれを心配したものでございますからな、ロクロク寝《やす》みませんでした。それでも幸いに春照の高番あたりで、ちょっとしたボヤがあっただけで、無事に済んだのが何よりでございました」
関守氏の、無事でよかった、無事でよかったということが、お雪ちゃんにはよく受取れないのです。昨
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