らぬけ出した後の寝床にもぐり込んで、すやすやと寝息を揚げておりました。事実上これでは逆で、米友がいない限り、病人を寝かせて置いて、道庵が看護を兼ね、仕儀によっては流し元までも立廻らなければならない状態が逆で、病人を働かせて、自分がすやすやと寝息を揚げるということは、あまりのことなのですが、また、取りようによれば、こうして病人がともかくも働けるようになり、お医者さんがすやすやと寝られるようになったればこそ、もう占めたものなので、これがまた逆に戻って、道庵が水瓶をひっくり返したり、鉄瓶を蹴飛ばさなければならないようになっては、おしまいです。
 自在に鍋をかけて、何か朝の仕度をしながら、お雪ちゃんはやつれた面に乱れた髪を少しかき上げて、火箸《ひばし》で暫く火いじりしながら、物を考え込んでおりました。そこへ、
「お早うございます」
と表からおとのうたのは、意外のようで意外ではない人でした。
「これは不破の関守さん」
「昨晩は失礼をいたしました」
「どうもおかまい申しませんで」
「友さんは――」
「ちょっと今、出かけましたのですが、もう戻りそうなものです」
「お雪ちゃん、あなた、少しお面の色が悪
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