ていさえすれば、何を自分がお雪ちゃんをゆすぶったり、締めつけたり、口うつしに水をくれてやったり、また鉄瓶の野郎にまでチンプンカンプンを起させたりする必要がどこにあるのだ。
血のめぐりの悪い奴に逢っちゃあかなわねえ。
と米友が、またしても自分の低能ぶりを嘲りきれない語調でせせら笑ってみましたが、いつまでも自己冷嘲をつづけるのが能ではない、事の実行にとっかかるまでのことだ。実行というのは、この先生を起して、お雪ちゃんを完全に呼び生かした上に、将来の健康を保証せしめることだ。そこで米友が、物静かに道庵先生の枕許にはせ寄って、
「先生! 先生! おいらの先生! 起きてくんな」
「ムニャ、ムニャ、ムニャ」
「先生!」
「ムニャ、ムニャ、ムニャ」
「先生!」
「ムニャ、ムニャ、ムニャ」
再三呼んでも同じ言葉を繰返した後に、小うるさいと思ったのか、クルリと向きをかえてしまいました。詮方《せんかた》なく、米友がまた立って歩んで、そちらへ直って、さて、
「先生!」
「ムニャ、ムニャ、ムニャ」
「先生!」
「ムニャ、ムニャ、ムニャ」
「先生!」
「ムニャ、ムニャ、ムニャ」
やはり同一のたわごとを繰
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