返して、こんどはまたクルリと元の方へと寝返りを打っての高いびきです。
詮方なく、米友がまたこちらへ立返って、そうして、
「先生!」
「ムニャ――」
今度は一言でまた寝返りを打って、あちらを向いてしまいましたから、米友が勃然《ぼつぜん》として怒りをなしました。
ふざけてやがる、おいらがこうして起してるのを承知してやがるんだ、承知の上で、わざとムニャムニャとしらばっくれておいらをからかって、あっちへ向いたり、こっちへ向いたり――人をばかにしてやがる、常の場合ならいいが、こっちはこの通り苦労している、人間一人の生命に関する場合に、ふざけるもいいかげんにしろ!
勃然として怒りをなした米友が、
「先生! 起きろ!」
右の手をかざしたかと見ると、これはまた近ごろ手厳しい、道庵先生の横っ面をピシリと音を立てて一つひんなぐりました。なぐったのはむろん米友で、なぐられたのはその師であり、主であるところの道庵先生なのです。
「あ、痛《いて》え!」
それは多少手加減があったとはいえ、米友ほどの豪傑が、怒りに任せて打ったのですから、手練のほどだけでも相当以上にこたえたに相違ない。
さすがの道庵先
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