し加えられた火花が、一層お雪ちゃんの気分を引立てたものに見せましたから、もうこっちのもの、という考えがいよいよ確実になってみると、米友としてもいよいよ米友度胸が据《すわ》ったのです。
 とはいえ、稽古半ばで落された武術の修行者が、さめると共に元気を回復して、すぐさま相手に一戦を挑《いど》みかけるというような現金なことはなく、まだ決して自分の意志を表白し得るほどの程度にも達していないのですが、もうこっちのもの、という信念を米友に持たせることに於ては牢乎《ろうこ》として動かすべからざるものがあったのですから、米友の取扱いもいっそう和気もあり、やみくもにゆすぶることには及ばない。ゆすぶってはいけないのだ、安静に寝かして置いた方がいい、もともと外部に創傷のある出来ごとではないのだし、長いあいだ病気で弱っていたという身体でもないのですから、安静にして置いて、且つ冷えないようにしてやりさえすればそれが何よりなのだ、という看護法の要領だけは米友の頭にうつって出来たものですから、そのまま後生大事にお雪ちゃんをまた元の枕に寝かせながら、
「だから言わねえこっちゃねえ、お前《めえ》、あの男にどうかされたん
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