だろう。あの男というのは、お前が先生先生といってかしずいているあの盲《めくら》のことだ、ありゃお前、魔物だぜ!」
と言いましたが、無論まだ口を利《き》く自由さえ得ていないお雪ちゃんが、この文句を聞き取れようはずはありません。自然、米友のいうことは独《ひと》り言《ごと》になってしまっているのですが、聞かれていようとも、聞かれていなかろうとも、独り言であろうとも、相手を前に置いての独得のたんか[#「たんか」に傍点]であろうとも、米友としては言うだけのことを言いかけて、途中でやめるわけにはゆかない。
「お前はこっちへ寝て、あの男は向うの屏風《びょうぶ》の中へ寝たんだろう、まさか一緒に寝るようなことはありゃしめえ、あんな人間の傍へ近寄ろうとするのがあやまりなんだ、まあ怪我がこれだけで済んだから幸福《しあわせ》のようなものなんだ。ところで、お前が珍しがっているあの人間は、今はその屏風の蔭に寝ちゃあいめえ。なあに、そこに寝ているぐれえなら世話はねえんだ、おいらでさえ、同じ座敷に寝ていて、毎晩のように出し抜かれた魔物なんだから、お雪ちゃんなんぞ一たまりもあるもんかよ」
あちらの枕屏風の外から、中を
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