者に任せてもらえまいか」
という段取りになって、異議なし異議なしでそれから浪人姿のさむらいが、堤上をこなたの岸に向ってそろそろ歩み出す。それを囲んで、双方の委員候補者たちと見えるのが、ゾロゾロとついて来る。後ろにつづく後陣の大勢も、こうなってみると殺気は解けたが、そうかと言って、このまますんなりと解散する気にはなれない。簡単に追いかえすわけにはなおさらゆかない。そこで、さむらいを中心に、立てた委員総代候補者連のあとをくっついて、この大多数がゾロゾロと行くところまでは行こうという形勢になりました。
その形勢で見ると、今までは火花を散らそうとした二つの勢力が一つに合流はしたけれども、さてまた、この合流した勢いのきわまるところが問題でなければなりません。一時の合流は見たけれど、それがために大雨がにわかに到ったというわけでもなし、双方を納得《なっとく》せしむべき解決条件が見出されたというわけでもないらしいから。
これからこの浪人に率いられて、どこかへ行くのだ。どこぞへ行って、改めて熟議を凝《こら》すものに相違ないが、どこへ行くつもりだろう――そんなことまで、米友が想いやっているうちに、早く
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