なった山なんだから、そこんところをどうかひとつ……」
「ちぇッ、生温い声をしやあがるなあ、いま縄を下ろしてやるから、それにつかまって上って来な」
「いや、どうも恐縮千万、実はね、この胆吹山へ薬草を調べに、道を枉《ま》げてやって来たものでげすが、どうもはや、慣れぬことで、道を枉げ過ぎちまったものでげすから、いやはや、あっちの谷へ転げ落ちては向う脛《ずね》を擦りむき、こっちの木の根へつっかかっては頬っぺたを引っこすられ、ごらんの通り、衣類はさんざんに破れ裂け、身体はすき間もなく掻傷、突傷、命からがらこれまでのたりついたでげす、いやはや、木乃伊《ミイラ》取りが木乃伊という譬《たと》えは古いこと、薬草取りに来て、生命を取られ損ないなんていうのは、お話にならねえんでげす、これと申すも日頃の心がけがよくねえからでげす、今日という今日は骨身にこたえたでげす」
下の生温い音声を発する動物は、引きつづきだらしのない声でべらべらとこんな言葉を吐き出したのが、意外にもギックリと米友の胸にこたえました。
「おや――お前《めえ》は、おいらの先生じゃあねえか」
「おやおや、そう言うそなたの声に聞覚えがある、たし
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