かに友兄《ともあに》いにきわまったり、友兄いとあれば天の助け、ここで会ったが百年目!」
生温い、だらしのない、歯切れの悪い上に、これはまた何というキザたっぷりの緞帳臭《どんちょうくさ》い返事だ!
三十五
ともかくも、宇治山田の米友は道庵先生を引き上げて、以前再三繰返された場面の炉辺に持って来て押据えました。
この時、お銀様の姿は、もうここには見えませんでした。奥の一間も、ひっそりかんとしたものです。
奥の一間のひっそりかんとしたのは今に始まったことではないが、お銀様のいずれへ消えたかということは、多少の問題にならないではありません。まさか、ひっそりした奥の一間の平和をかき乱さんがために、あれへ闖入《ちんにゅう》したものとも思われません。その証拠には、現に、奥の一間の平和の空気が、少しも攪乱《こうらん》されている模様のないことでわかります。
してみると、多分、あの母屋へつづく、あの廊下口から出て行ってしまったものに相違ありますまい。なるほど、そう言われて見ると、さきほど米友がお雪ちゃんの頼みで固く締切った時とは違って、戸前が少しゆるんでいる――お銀様は、た
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