流れ渡る月光の外野を見ると、特に何物をか、しかと認め得たというわけではありませんが、なんとなく、いよいよ米友をして安心せしめざるところのものがある。
 そこで、また眼をこすって、いきなり立戻って今度は、裏口の、つまり、その家からいえば非常口といった方面です、そこに一間間《いっけんま》だけの戸があって、心張棒《しんばりぼう》で塞《ふさ》いである、その心張棒を米友が外《はず》しにかかりました。心張棒を外から外すことは、かなり難儀な仕事だが、内から外す分には何の事はないのです。
 それを外して、戸をがらりとあけて見ました。これは連子窓から見た棒縞形の世界とは違って、胆吹のスロープを充分に視野に取入れて、そうして、まぢかくはこの家の軒下をずっと見通し――果して、その軒下の南へ廻る角のところに、怪しい者の姿を米友がしかと認めて、思わず力足、例のじだんだの一種類ですが、ここは板の間の上ですから、じだんだとは言えない、床だんだとか、木だんだとかいうのが正当かも知れないのですが、「曲者《くせもの》見つけた!」というような気合で、米友が小躍《こおど》りしてみたのですが、その見つけられた怪しい者は、米友が
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