納戸の隅の方へと光を持って行くのです。まもなく米友は、大きな鉄の四角な鳥籠を一つ抱え込んで、こちらの座敷へ持ち込みました。人間に抱えられたと見ると、なおいっそうはばたきと暴勢とを加え、また一種名状し難い哀叫怒号を加えて荒れ廻るのを、米友は籠ぐるみ牛蒡抜《ごぼうぬ》きにした恰好で抱き出して来て、そうして炉辺の一方へ押据えたが、動揺を防ぐために、のし[#「のし」に傍点]板を持って来てあてがった上に、沢庵石《たくあんいし》かなにかを臨時の押えとして重し[#「重し」に傍点]をかけ、さて自分は、以前の炉辺へ戻って、どっかと小さな胡坐をかいて、爛々《らんらん》たる眼を見開かして、そうして籠の中を注視監視の姿勢を取りながら、その処分方法を考え込んでいるものらしい。
二十五
かく内と外と相呼応する物騒がしさのうちに、宇治山田の米友は、泰然として坐りこんでみたものの、実は米友としては余儀ない次第なので、さすがに生一本のこの男も、ほとほと手のつけようがないのです。
お雪ちゃんはもとより、おどおどとして為《な》さん術《すべ》を知らない。
しばらくあって、決然として米友が立ち上りま
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