く、善には至り難いぞ』とあるのと、それから、『大事を妻に洩《もら》すな、おんなは知恵浅く、無遠慮なるによって、他に洩して仇となるぞ』とありますが、仏様のお教えにも女は成仏《じょうぶつ》ができない、孔子様も女子と小人など仰せられまして、女をたのみ難いものになさるのは、東洋の国々ばっかりかと思いましたら、この御本のように、西洋でもやはり女は浅ましいものとなっておりますのが、真実のこととは申しながら、なさけない思いがいたします」
「うむ、全部がそうというわけでもなかろうが――」
と言って、駒井は肯定するような、しないような返事をしました。あさましい女もあれば、たとえばお松さんのような、立派な強い素質を持った女性もある――とでも言えば言いたかったのでしょうが、そうも言わないでいると、お松が、
「それから殿様、わたくしは申し上げに出ようと思っていたところでございますが、ただいま船の修理に来ておいでなさる人たちの中に、珍しい人が一人おりますのでございます」
「それは、どういう人ですか」
「この近辺の人ですが、日本でははじめて、この世界中を一巡りして来た人の仲間のうちの一人だそうでございます、世界の
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