り》公のお話と、あんまりよく似過ぎておりますから、ことによると元就公のお話を、こんなふうに書き改めたのではないかとも思われるのでございますが」
駒井がそれを聞いて、頷《うなず》いて、
「なるほど、そう思われるのも決して無理はないが、事実はそうではないのだ。いったい、この伊蘇保の物語というのは、今から二千年も前に出来た本なのだから、毛利元就の時代より遥かに遠い。だから疑えば毛利元就のあの三人の子供に弓の矢を折らせたという物語は、かえってこの物語から出たつくり話ではないかと疑うのが当然なのである。しかし、もう少し同情した考えようによると、日本でこの本がはじめて翻訳されたのは文禄三年ということだが、それ以前に日本へ来た宣教師や外人によって、なんらかたとえ話となって日本人の口に膾炙《かいしゃ》していたかも知れない、それを元就が聞き知っていて、自分の最期《さいご》の遺言に利用したものと見られないこともあるまい」
「そういう順序でございましょうか。なんにしても大へん結構なお話で、偉い父親ならば、きっと利用しそうなお話でございます」
それから、駒井は、そう解釈するのが親切であって、たとえ話などと
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