地として手段方法を案じはじめたのです。
二十五
つらつら地図を按ずると、どうもなんとなく、第六感的に、北東部が気になってならない。ここから北東部といえば、北上川の支流にあたる追波《おっぱ》、雄勝《おかち》方面と、それから自分がいま経て来た万石浦《まんごくうら》から、女川湾《おんながわわん》をいうのです。
七兵衛の逃げた方面というのは、全然雲を掴《つか》むようなものだが、絶体絶命の場合には、方角を選ぶ余裕は無いにきまっているが、しかし、彼の本心の磁石は、必ずや月ノ浦の無名丸に向っているに相違ない。一旦はやみくもにどちらへ逃げようとも、やがては、月ノ浦をめざして慕い寄ろうとする心持はよくわかるから、西南北へ向って遠く走り過ぎる心配はない。マドロス並びに兵部の娘らしいのが、万石浦を小舟で渡ったというのを見た者があるというから、これは、いずれその辺の、木の根、石の蔭に当分こらえていて、たまらなくなれば這《は》い出すのだ、この方は発見にそう骨が折れない! と、田山白雲は最初からタカをくくっているのです。
いずれにしても、円心はこちらにある、牡鹿《おじか》、桃生《ももふ
前へ
次へ
全227ページ中167ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
中里 介山 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング