イン、フェイア、ウイズ、オール
ハア、バージン、スタース、アバウト
ハア――
[#ここで字下げ終わり]
口早にそれを言い切ると、また足拍子がはじまりました。
[#ここから2字下げ]
チーカロンドン、ツアン
パツカロンドン、ツアン
[#ここで字下げ終わり]
「あれです――出鱈目《でたらめ》もあの程度になると、仕入先がちょっとわかりません、漢詩などは、われわれが偶然のすさみに口頭にのぼったやつを、直ぐに乾板にうつしとって置いて、複製して出すのですが、あのペロペロはどこからどう覚えて来るのですか、あれにも相当のよりどころはあるのでしょう――全く油断も隙《すき》もならない奴です」
「驚きました、本当に驚きました」
本物の詩人と画伯を全く茫然自失せしめているとは知らず――足拍子おもしろく船べりを踊って、トモの方へ来た時分に、
「あ、ムク、あ、ムク――ムク、お前はどうしたのかえ」
ここで全くブチこわし。
反芻《はんすう》もローマンもあったものではありません。世の常の子供が、驚いてベソをかいたと同じような狼狽としょげ方とで叫び出しました。
「ムク――ムク」
今まで所在を潜めていたムクが、か
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