さてはきのうおれたちをだましたのはこの婆だな、と言って慾タカリ婆をさんざんにハタいて瘤《こぶ》だらけにしてしまったとさ」
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オイセとチョウセ
オイセとチョウセ
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 老女の昔話の一くさりが終ると、きっかけに茂太郎がまた頓狂な調子を上げましたが、あたかもよし、その時に月が上り出したのです。
「ああ月が――」
 船のうちが、ひとしく、いま海波の上にゆらゆらのぼりかけた月を見て、鳴りをしずめてしまいました。
 田山白雲が水墨を取って、大きく紙面にうつした松島月影の即興図に、玉蕉女史は心得たりとあって、さらさらと次の絶句を走らせる。
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高閣崚※[#「山+曾」、第4水準2−8−63]山月開(高閣|崚※[#「山+曾」、第4水準2−8−63]《りょうそう》として山月開く)
倒懸清影落江隈(倒《さかし》まに清影を懸けて江隈に落ち)
欲呼漁艇分幽韻(漁艇を呼ばんと欲して幽韻を分つ)
好就金波洗玉杯(好し金波に就いて玉杯を洗はん)
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 田山白雲は、それを見て、この閨秀詩人は字を合わせ韻《いん》をさぐることに、多くの苦
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