の有する美質を、人に示して惜しまないところには、また非常なる危険がひそんでいることをさとらなければなりません、そこをひとつ、出過ぎた申し分ですが、わたしから忠告をさせていただきたいものです」
「どうぞ、御遠慮なくおっしゃって下さい、何と言われても、為めになることをおっしゃっていただく分には、決しておこりませんから」
「では申し上げましょうかね。人様のことを申し上げるには、自分の懺悔《ざんげ》からはじめなければなりません。まあ、お茶を一つ……」
話が思いの外はずんで、賢次がお茶をいれて話しこむ気になると、お雪も身を入れて聞く気になりました。
今や賢次が、わが身の懺悔話からはじめて、おもむろにお雪ちゃんの為めになる意見話の緒《いとぐち》を切ろうとした途端に、この家のいずれの一角からか、飄々《ひょうひょう》として短笛の音が落ちて来ました。
「あ、尺八」
十五
「あ、尺八ですね」
せっかく、語り出でようとする賢次、せっかく、それに聞き入ろうとしたお雪、二人の熟した気分を、この尺八が折りました。
北原も、話頭を折って、この尺八の音に聞き入る。お雪もまた、それを聞くと
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