「え」
「あの人は、眼が見えない代りに、勘がおそろしくいいんですから、わたしのたよりを持った鳩と行逢えば、その羽の音で、きっとさとってしまいますわ」
「驚きましたね、いかに勘が鋭敏だといって、それが本当なら、まさしく超人間です」
北原が、やや茶化し気分のいい気持で相手になっていると、お雪ちゃんはいよいよ真剣になって、急に思いついたように、
「あ、そうそう、そういう場合は、弁信さんよりも茂ちゃんだと一層いいわ、あの子ならこの鳩を呼び寄せてしまいます」
「何ですってお雪ちゃん」
「あの茂ちゃんて子が、もし弁信さんと一緒なら占《し》めたものよ」
「茂ちゃんとは、何者です」
「可愛ゆい子で、弁信さんと大のなかよしですが、もし二人が一緒にいてくれると、弁信さんがこの鳩を勘でかんづいて、茂ちゃんに耳うちをすると、茂ちゃんが口笛を吹いて、この鳩を呼びとめてしまいます」
「なんだか、お雪ちゃんの話は、捜神記《そうじんき》を夢で見ているようで、我々には、いっこう取りとまりがないが……」
「いいえ、茂ちゃんていう子は、それは不思議な子よ、どんな荒い獣でも、空を飛ぶ鳥でも、地に這《は》う虫でも、みんな呼び
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