のではございません、早い話が、今夜のうちにあのマドロスさんを盗み出してしまうんですね。盗み出して、だあれも気のつかないところへ隠して置くんでございますね。そうすりゃ、あいつらの意気組みも拍子抜けがしてしまいましょう。それから後は、それから後で、またうまくあやなす法もあろうというものです。いかがでしょう、この謀《はかりごと》は」
 七兵衛に斯様《かよう》に建議をされたが、駒井甚三郎は、膝を打ってなるほどともなんとも言わない。深く考え込んだ後、
「ふん、それは最もよい計略かもしれないが、また最も行い難い仕事だ、第一、それらの無頼漢が覚悟の上で護る根拠地へ、今晩のうちに出向いて行って、それを首尾よく盗み出して来るほどの働き者がこの際、あるか、ないか、それを考えて見給え」
と駒井から、重々しく戒めるように言われたのを七兵衛は、軽く受け、
「はい、そこでございます、そこのところをひとつ、この七兵衛にお任せを願われないものでございましょうか、仕遂げた上でなければ口幅ったいことは申し上げられませんが、ともかくこの七兵衛にお任せ下されば、やれるだけはやってお目にかけようと存じます」
「うむ、お前の勇気
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