この駒井にさえも、どうしていいか、さばきのつかぬこの差当っての大難関を、ポッと出の田舎者《いなかもの》のくせに、身に引受けてみようとは、なんという豪胆な言い分だろう、豪胆でなければ、向う見ずの極だ。
そこで駒井が、七兵衛に向って言いました、
「ふん、お前に何ぞよい知恵がありますか」
「はい、知恵というわけではございませんが、お殿様が私にお任せ下さりますならば、一番あいつらの鼻ッ端をくじいてやりたいと存じます。としましても、ポッと出の私一人の力で土地っ子の大親分とその一まきを相手に、正面から喧嘩が買えるものではございません。そうかといって、長い間たくらんでした仕事を扱いにはなりますまい。元はといえばそのマドロスさんとやらいうお人一人のこと。そこでそのマドロスさんを、あいつらの手にかけない先に、こっちの手でなくしてしまえば、向うは拍子抜けがしてしまい、また言いがかりの種子《たね》も無くなってしまう道理でございますから、こいつは一番先手に廻って、こっちの手で、あのマドロスさんとやらを無い者にしてしまったらいかがのものでございましょう。無い者にすると言いましても、決して生かしたり殺したりする
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