し者の片割れだ、そのくらいにしてやったって、賞《ほ》められこそすれ、トガメが来るものか。
 明日はやっつけてやれ、と、こんなことを、あの賭博打《ばくちうち》の子分共が口々に言っておりました。
 だが殿様、どう御処分なさいますか、ここは充分考えどころでございますよ……」
と七兵衛が、ここまで語り来《きた》って駒井の様子を窺《うかが》うと、駒井の面《おもて》に、言わん方なき苦悶《くもん》の色が表われたのは事実です。
 ほとんど、どうしようとの思案と、返辞とに窮してしまったらしい。マドロスを取返しにこちらから押しかければ、いわゆるなぐり込み[#「なぐり込み」に傍点]だ、いかに腹が立てばとて、駒井能登守ともあろうものが、天保水滸伝の向うを張って、博徒を相手のなぐり込みが、できるものか、できないものか。
 だがまた、これをそのままにして置けば、みすみす頼りない外国の漂浪者を、無残なる私刑者の手に、見殺しにしなければならない、これをしもまた忍び得ることかどうか。
 これを忍んでいれば、その次には大挙して、この陣屋と、造船所とを襲うに相違ない。たかの知れた博徒共を追払うは何のことはないとしても、彼等
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