太郎がまた飛び込んで来て、
「おじさん、おじさん、大変だよ、大変なことが出来ちまったよ」
「何だい」
「今ねえ、村の人やなんかが大勢やって来て、マドロスさんをさらって行ってしまったのよ。マドロスさんは悪いことはしたけれども、本当は悪い人じゃないの、それをみんながああして連れて行ってしまったから、マドロスさんは殺されるかも知れません、大変よ、大変よ」
「そりゃ大変だ、殿様に申し上げたかい、殿様はどうしていらっしゃる」
「殿様は造船所の方へ行っちまったんです、そのあとへ村の人が大勢入って来て、盗人《ぬすっと》を殺せ、毛唐《けとう》の狒々《ひひ》をやっつけろなんて、大勢でマドロスさんを担《かつ》いで行ってしまいましたよ」
「それはいけないね、早く殿様に告げに行っておやりなさい」
「お嬢さんが行きました」
「それじゃ、おじさんもこうしてはいられない」
七兵衛もあわただしく立って、庭の方へ出て見ました。
なるほど、茂太郎が言った通り、村の人かなにかが多数に乱入して、無理矢理にこの物置の中の人を奪って行った形跡はたしかです。それにしても乱暴過ぎると思わないわけにはゆきません。
いくら悪いこと
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