を托しさえすれば、この自分の特徴であり、また、自分をあやまらせたところの超凡の足というものの能力が、全く無用になると共に、今まで自分の恐れかしこみ、潜み、隠れ、わなないていた魂というものが、全く解放されることを考えずにはおられません。
全くその通り、いかに早足でも、地上を走る時には必ず行詰りがあるにきまっている。
船に身を任せて海外へ走れば、そこには無限のにげ路があるではないか。
七兵衛は駒井から船を見せられて、そして海外移住の説明を聞かせられたときに、自分の前途の生命《いのち》につぎ足しが出来たなとはっきり思い当って、非常な大きな喜びと、一種の希望を見出したように感ぜしめられました。
船! 船に限る。
七兵衛は早くもこういうふうに宗旨変えを、心のうちで誓ってみました。
そしてまた、陣屋へ戻って来ると、暫しあって、かの物置で号泣の声が聞えます。どうも不思議でたまらないが、そうかといって、それを問い質《ただ》してみるのも失礼なように感じました。
ともかくも今日は休息するようにと、七兵衛は客間へ案内されて、そこに一人で暫く止まっておりました。
休んでいると、やがてコトコトと
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