は、やっぱり日本に、最初から存在したもののように思われてならぬ、樹ぶりから枝ぶり、趣味好尚に至るまで、全く日本にふさわしいものだ」
と講釈をして、また次の如き順序の選名――
「青煙梅」
「蜂蝶梅」
「紫芝梅《ししばい》」
「微風梅」
「斑白梅」
「黄老梅」
「柳楊梅」
「四運梅」
「石蜜梅《しゃくみつばい》」
「餐露梅《さんろばい》」
「幽澗梅《ゆうかんばい》」
「銀床梅」
「深障梅」
それは、あらかじめ選んで置いて、それを転写するでさえ、そうは迅速に参るべからざるものを、いちいち、その景を見、境を見、木ぶり枝ぶりを見、来歴を参考として、即座に選んで、サラサラと書き飛ばすものだから、これは、たしかに容易なことでないと、村人を驚かすに充分でありました。それよりも、あまりに選名が早いので、それに縄をつけて、木に結ぶことの奔命《ほんめい》に窮するほどの与八。
この前後から、村々の子供をはじめ、閑人《ひまじん》がすべて出て来て、梅買い評定をのぞきに来る。
それだけではない、最初のほどは一匹二匹と出て来て、遠くムク犬の雄姿をのぞみ、あえて虎威をおかすことをしなかった附近の犬がようやく数を増
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