があるじゃないか」
「そうさなあ」
「だから、父《ちゃん》が無くたって、子供は出来るんだぜ」
 この話をお松は立聞きをして、ある時は吹き出したくなり、ある時は恥かしくなり、ある時はまた身ぶるいをするほど怖ろしくなりました。
 これら、無心の子供に言わせる社会相。
 子供が出来ても食わせられないが、子供は産れるものだ。
 この子供らは、子供の生れる性の知識には暗かったからいいようなもの、これでも出産の結果の負担の重いことを、家庭から深刻に吹き込まれている。
 産れたものは、食わせなければならぬ。その家々で食わせられなければ、他の方法で食わせて生かさなければならないものだと思いました。食わせられないがために、生かしては置けないということ、そういう場合には間曳《まび》いてしまうが、むしろ慈悲だという考えは、どうしてもお松に同意の余地を与えないものでありました。
 産れた子は、きっと育てられるように、家々の生活を保証させてやらなければならぬ。家々でやれなければ村々で……村々でやれなければ、お上《かみ》の手で……どうしても、そうしてやらなければならないものだと、お松は考えさせられました。
 人間
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