を多く産まないようにすることができないならば、家庭を富ましてやらなければならぬ、家々の生活を楽にしてやらなければならぬ、それには、どうしても土地を富ますように、その土地から、よき職業と、よき産物を見出して、生活を楽にしてやりさえすれば、この悲惨は救われるはず――お松は、日頃考えていないことではなかったが、今の無邪気な、怖ろしい会話を、子供の口から聞かせられた時に、一日の急のように、強くそのことを感ぜしめられました。
そこへ、ノソリと入って来たのは、海蔵寺から帰った与八です。
六十
その翌日、東妙和尚と、与八と、ムク犬とが相携えて、吉野村へ梅を買いに行きました。
村へ入ると、千樹の梅林――それを東妙和尚がいちいち見立てて、持主と値ぶみをする。協定が済むと、サラリサラリと代価を払う。
梅はもとより移植するためではない。代価を過分――といっても、材木や、薪として売り飛ばすよりは過分な代価を払っての上に、倉敷料としての見つもり若干を与えて、そのままにし、季節に実を取るだけの約定なのだから、売ってかえって保護をされているようなもの――取引も至極円満に進行して行きまし
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