に賞《ほ》められたのこそ、本当の粋中の粋なるものだ――というように買いかぶってしまったものです。
 そこで、次から次と、道庵滞名中の時間を繰合わせて、例のお数寄屋坊主を進行係に立てて、道庵先生の閲覧を仰ぐべきプログラムが編成されたものです。
 そのプログラムを逐一《ちくいち》、ここに掲げるのは煩《わずら》わしいことだが――情けないことには、道庵先生が、ことごとくいい気になってしまって、大のみこみで、よしよし、いちいち点検して遣《つか》わそう、残らず拝見して参りますよと、引受けてしまったことです。
 そこで、プログラムの編成者や、各催しの主催者側は恐悦しましたけれど、いったい、事実上、それを道庵先生自身が、どう処分するのか。
 このプログラム通り巡見するとすれば、かけ足で通っても十日はかかるだろう。前途日程、限りあるこのたびの旅路、それをどうする。
 そんなことはいっこう、頓着のない道庵――もてはやされると、いよいよ乗り気になるばかり。謙遜ということを知らず、辞退ということをわきまえず、遠慮ということに目のないこの先生は、魂が酒量と同じことに底抜けで、脱線がかえって本筋に通るのだから、始
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