ず》んでいた米友、この男には、鷹は死すとも穂をつまず、といった見識から来ているというわけではないが、一枝半葉といえども、人の物をただ取っては悪いということを知っている。その良心の鋭敏なることは、胃の腑が餓えていても、いなくても変りない。
だが、餓えと渇きとの非常である際に、必ずしも良心にそむかぬ方法と程度とに於て、胃の腑の窮乏を救ってやるということの融通は、乞食同様の旅をして歩いた経験のうちに、多少会得しているだろうと思われます。
「おーい」
と呼んでみました。
返事がない。
「おーい、この畑の持主の大将、さつま薯を三本ばかりおいらに恵んでくれねえか、それについでといっちゃあ済まねえが、蕪を一本な――」
あたりに響くだけの声で呼んでみたが、相変らず返事がない。
「ようし、一番」
米友は、懐中へむんずと手を入れて引出した巾着《きんちゃく》――それを御丁寧に用意の粗紙につつんで、畑の傍らの小松の上に置き、
「お貰い申しますぞ」
畑の中に分け入って、やにわに、蔓《つる》をたぐって、さつま薯《いも》の太いのを三本ばかり掘り取り――行きがけの駄賃といっては済まない、水気たっぷりの蕪《か
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