あるが、それは急にはわからない。

         五十三

 そこで米友は、とある磯馴松《そなれまつ》の根方に来て、大の字なりに寝てしまいました。
 誰か人が居合わせたら、たずねてみようとはしたらしいが、あいにく、見渡す限りのところには、人らしいものの影が見えなかったから、寝ている方がよいと思ったのでしょう。
 杖も、荷物も、抛《ほう》り出して、磯馴松の下で仰向けに大の字に寝そべっていると、松の木の葉の隙間から青空が見えて、白い雲が漂う、つい枕辺では、ざざんざ、ざざんざと波の音がする。
 いい心持でうとうとする、うとうとがかなりの熟睡に落ちる。眼がさめた時は、天地が灰色になっている。
 あ、しまった! 寝過ごした。
 杖を拾い、荷物をかつぎ取って、またも海も背負うて、人里をめざして走り出す。
「ちぇッ、お腹も空《す》いてきた、水を飲みてえな」
 砂丘と草原とを行くと畑がある。その畑にさつま薯《いも》らしいのと、蕪《かぶ》と、大根とが作られてあるのを見る。
 畑の前に立って、米友が暫く前後左右を見廻す――人あらば、請うて物を得ようとするつもりらしいが、あいにく、人がない。暫く佇《たた
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