ほど、事は単純に参りますまい。
ことに、あなたが、これから名古屋でお住まいになるとすれば、敵の中で暮らしているようなもので、油断はできないと思います。
こんな注意をお角から受けると、なるほど、そう言われると、それはそうかも知れぬ、自分がこれから名古屋城下に落着こうという考えは、少々軽率であったかも知れない、では、改めてどうしよう――さすが利発な少年が、少々迷いはじめて来たようです。
そこで、お角は、当分の間、江戸へでも行ってみたいとのお考えならば、適当の隠れ家を御紹介して上げましょう――いっそ、このまま、名古屋をつき抜けて、自分たちと一緒に京大阪から金毘羅《こんぴら》までも……とまでは言わず、いずれその辺は今晩にも、ゆっくり御相談を致しましょう、お疲れでございましょうから……お風呂をお召しになって、お休み下さい。
こう言って、かなり長い時間の二人の会話は終り、少年を先に風呂へやって、さあ、これからお銀様へ御機嫌うかがい……ということになると、自分はあんまり少年との話に身が入り過ぎ、時間がかかり過ぎたりしたことを気がつきました。それは同時に、今までは下へも置かなかったお銀様を、今
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