ちょきちょ[#「きちょきちょ」に傍点]したのはいけない――というような先入的の頭を以てこの少年を見直すと、隙間のないところに、真黒い影が漂っているではないかとさえ思わしめられます。
全く、そうです。男がよくて、腕が立って、気が利《き》いて、年が若い――と来ている。白井権八がそれではないか。それよりも、もっと手近に、もっと大物、あの日本左衛門というのが、たしかこの附近から出ていたはず――聞くに、日本左衛門という男の出発点も、この少年に似通《にかよ》ったところから、その長所がすべて、悪用されて、あたら有為の大材になるべきものが、あんなことで終ってしまったものではないか。
お角は、ついこんなことまで気が廻ったものですから、改めて、応対話にかこつけて、意見のようなことを言いました。
将来を大切になさること、御修行中は、もう決して腕立てはなさらぬこと、頼まれても引受けぬようになさるべきこと――つまり、すべての所行というものを封じて、当分、勉強なさって、御帰参の時を待つか、そうでなければ大都会で、もう一修行なさることを望みます、というようなことを言って聞かせました。少年にはこの言葉がわかるら
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