して、自分が指揮者の地位に立って、ついに今朝の事件を決行してしまったということ――それをかなり爽《さわ》やかな弁舌で説き出しましたから、お角が全く感心してしまいました。
 実は、自分も昨日、赤坂を越えて藤川河原の相撲場の喧嘩は、一から十まで見ていましたが、あなた方としては、已《や》むに已まれぬものがお有りになったろうと御推察申します。
 お角は、この人たちの復讐心を是認したくなって、この少年の義気と、勇気とに、ほんとに舌を捲かせられました。
 だが、苦労人のお角としてみると、その隙間《すきま》のあんまり無さ過ぎるところに、なんだか大きな隙間があるように見えてならぬ。今の年で、これほど隙間のない若い人が、このまま出世したらどんなにエラくおなりだろう。出世しないとしたら、どんなに抜けて行くだろう。お角はそれを考えざるを得ませんでした。それを考えた時に、思わずこの少年の将来のために、祝福ばかりはしていられないように感じました。
 子供のうちは鷹揚《おうよう》なのがよい。少しは馬鹿といわれるくらいでも、間の抜けたところのある方が、あんまり隙間のないのより望みがあるものだ。子供の時に、あんまりき
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