でもござろうが、おのおの方におたずね致したい、お控え下さるよう」
 棒鼻をおさえての申入れが、事有りげではあったが親切でしたから、女長兵衛も、お若けえの、お控えなせえとも言えず、神妙に、
「何の御用でございますか」
 駕籠から出て挨拶をしようとするのを、
「いいや、そのままで苦しうござりませぬ、そのままでお尋ね致したいが、あなた方は、いずれへおいでになりますか」
「はい、わたくしたちは、江戸から参りました者、名古屋まで参る途中のものでございます」
「御婦人と見受け申す、して、その後ろのお方は……」
「あれは、わたくしの主人でございます、やはり女でございます」
「お二人とも、女子《おなご》づれ、しておともの衆は、この三人だけでござるか」
「はい、六に、松に、芳……三人でございます」
「三名ともに、江戸から御同行でござるか」
「はい、二人だけは甲州から連れて参りました」
「近ごろ、ご無礼の至りなれど、一応、後ろのお乗物の中のお連れにお目通りがしたい、拙者は岡崎藩の中、梶川与之助と申すもの、友人のために黙《もだ》し難き儀があって、人あらためを致さねばならぬ次第により、枉《ま》げてこの儀をお願
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