を――この忘八者《くるわもの》めが、武士に向って僭上《せんじょう》至極!」
「斬って捨てるぞ!」
二人の悪ざむらいは、威丈高《いたけだか》になりました。
「何、何と言いなはる、お腰の物へ手をかけなさったは、わしたちをお斬りなさる了見かエ。面白い、さあ斬っていただきやしょうか。今日はお天気がよくて皆さん、みんな御見物にいらっしゃる、わしも名古屋の河嘉の松五郎じゃ、こんなところで、晴れて斬られるならずいぶん斬られて上げる。どちらが道理か、お立会の方がみんな御存じ。さあ、お斬り下さい、どこからでも、横になと、縦になと、斬っていただきやしょう」
相手の言葉尻を逆にとらえ、尻をまくることの代りに、片肌をぬいでしまって、
「さあ斬れ――」
をきめこんだものだから、見ている人が手に汗を握りました。
それで、勢いこんだのは相手の悪ざむらいではなく、町人の後ろに控えている身内の若いのと、それを声援する芸妓たちです。
「兄さんの、おっしゃる通りが道理じゃ、さあ、白いと黒いは、皆様がご存じ、斬られておやりなさい――まんざら、犬死はなさるまい、道理は、わしたちはじめ、お立会の皆様がご存じじゃ、斬られるも
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