勢力は今は怖るるに足らず、金鉄組の勢いが強く、成瀬、田宮の派が固めているから大丈夫――万一の際は、こっちのものだと安心している者もある。
 この相良とか小島という新入りの壮士が連れて来た右の一人の女性。それは、やっぱりわからない。或いは、この一味に投ずるほどの女侠か、そうでなければ、相良が、松本あたりから雇うて来た女案内人か。それにしては肌が柔らかい。

         四十九

 お銀様を誘い出して、尾張の名古屋を的に東海道を上るお角さんの一行は、無事に三州の赤坂の宿《しゅく》まで来ました。
 道中馴れたお角の歯ぎれのいい女っぷりに、事新しく感心したらしいお銀様。そのおかげで、今までに経験したことのない快い旅路をつづけ得たと思いました。
 お角という女は、お銀様に対してこそ、妙に気が引けてならないが、その他にかけては、無人の境を行くようで、さすがの雲助、胡麻《ごま》の蠅のたぐいも、はね返して寄せつけない気象。
 宿に着いてから出るまで、万端の行き方が小気味がよく、啖呵《たんか》が冴《さ》えきって、行き方がさばけきっている。お銀様は、お角と同じ道中をしてみて、はじめてお角のえらさがわ
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