で暮しましょう。そうして落着いているうちに、先生の御養生も届いて、立派にお目があくようになれば、また、どうにでも方法はございます。もし、また、その白川とやらも、思わしくないようでしたら、それこそほんとうに、この世の行きづまりですから、わたしは、もう、それより以上に生きようとは思いません……ですから、どうぞ、そんなようにして、誰にも話さずにこの白骨を抜け出すことに御同意をして下さい、そうして、その方法を、わたしにお任せ下さいな、ね、いいでしょう、どうぞお願いです」
 こう言って、お雪としては珍しいほどの昂奮を以て、一生懸命に訴えてみましたが、竜之助はハッキリした返事を与えませんでした。
 けれども、ハッキリした返事を与えないことが、同意の表示であるように、お雪をして遮二無二《しゃにむに》、思い進ませた結果になりました。
 伝うるところによると、飛騨の白川村に通ずる路は、千岳万渓の間に僅かに一条の小径《こみち》あるのみで、その小径も、夏になると草が覆い隠し、しかもその草むらに蝮《まむし》が昼寝をしており、枝の上には猿が遊んでいて行人に悪戯《いたずら》をしかける。案内人なくては到底、入り難き
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