、襖一重の明け開いた隔ての間で、竜之助とお雪とが、こんな話をしました。話はむしろ、お雪の方から持ちかけたものです。
「ねえ、先生、いつまでもこうして、白骨にばかりもおられませんわね」
「でも、こんなところで、一生暮してもいいと、お前は言ったではないかね」
「一時はそう思いましたけれども、ここは、わたしたちだけの天地ではありませんもの」
「我々だけの天地というものが、別に造られてあるはずはないのだ」
「それはそうですけれども、温泉だけに、人の出入りが絶えませんわね、誰も来ないはずの冬の白骨へ、やっぱり、思いがけなく、いろいろの人が出たり入ったりするものだから、わたしは危なっかしくて、このごろはほんとうに落着かなくなりました」
「といって、冬が終るまでは、動きが取れないことになっているではないかね」
「いいえ――あんな見知らぬ人が、今晩も入って来るくらいだから、出ようとすれば、出られない限りもないと思いますわ」
「そうか知ら、そこで、お雪ちゃん、お前も、もう白骨にあきがきて、家へ帰りたくなったのか」
「いいえ、そういうわけではありませんけれど、ここがなんとなく不安になりました。ねえ、先生、
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