今までの冬籠りには、女というものは自分のほかには絶対になかったはず。
呼ぼうということも、来るということも、誰人のおくびにも出てはいなかった。たとえ、呼んでも、招いても、自分たちのように夏の時分から来ているならば格別、今のこの際に、女の身でここへ来ること(冒険の男でさえも)は、全く不可能であると信ぜられていたのです。
この人が女ならば、いつ、どうして、誰が連れて来た。もっと以前に連れて来て、誰か隠して置いたのか――それは、どちらにしても容易ならぬ事だ。
と、お雪の胸が兢々《きょうきょう》としました。
しかし、その場の光景はその瞬間だけで、下なる人は直ちに面《かお》を伏せて、軽く足許に落ちた数珠を掻《か》き寄せると同時に、右手は手桶にかけて、難なく水と姿のすべてとを家の中に運んでしまいました。
幻怪にもせよ、恐怖にもせよ、幻怪でも恐怖でもなく、ただ人あって水を汲みに出たという平凡極まる光景であったにせよ、眼前のその事は、それでひとまず解決しましたが、それと同時に、背後の圧迫のゆるやかなことを感ぜずにはおられません。
四十七
その夜の寝物語に――といっても
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